おそらく建物の正面入り口に掲げられる「ファサード看板」から由来しているのだろうが、真相は謎である。イタリアのフィレンツェ近郊にあるような、正面がのっぺりとした装飾のない壁に大窓、入り口のみの簡素な造りの教会建築や、歴史的建築物の「顔」となる正面入り口部分の外観(表面)だけを保存する「ファサード(工法)」にも似ている。
看板建築は書店、食堂、薬局、理髪店、旅館など多岐にわたるが、主に「個人商店」が大半である。設計者も建築家などではなく、建築主(=店主)が街のブリキ屋やペンキ屋と相談してデザインしたもの、または無名な画家によるものが多い。民衆のデザインによる近代建築である。
この看板建築の見物スポットとして有名なのは、東京の神田・神保町周辺地域であるが、これらの建築物は東京を中心とした関東一円に広まっている。
この建物の歴史を知りたい方は、本誌『ソレイケ1』をご覧下さい。